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老いとの向き合い方。

2023.12.05

老いとの向き合い方。

お釈迦様が説かれた、「生老病死」(四苦)、苦を私たち人間は生きて行くのだと説示されました。その真実を受け入れて私たちは各々の人生を生きて行くのです。

「死」、「病」も勿論に辛いことですが、この二つはどなたもが避けて通ることの出来ぬ「道」であることを皆さん、十分に了解なされています。

「老い」も又、避けて通れぬことを皆さん、これまた十分に了解はなされています。

しかし乍ら、「老い」は日々の自分の生活と二人三脚で進行いたしますので、先の二つの「苦」とは少し違う所があるように思います。

今を生きる私たち、様々なことが進歩いたし、便利さも日々に更新されています、そのような中、「医療の発達」は目を見張るものが有ります、驚くような医療の進化と共に、画期的な薬も開発され、男性、女性共に寿命は天井知らずの感じで伸びています。

しかし、老いを重ねるにつれ、体力、気力が衰退致し、以前に出来ていた自由が利かなくなり、不満と共にストレスが積みあがって行きます。

それがまた、他者との軋轢を生みだし、時にはニュースとなるような深刻なことも報道されます。

老いと向き合う事の難しさを痛感せざるを得ないことが多くあることを感じることです。

そんなことを考えていました時、丁度11月26日の朝日新聞に奇しくも「老い」に関する記事が二つ、掲載されていました。

一つは天声人語に、イギリスのロックバンド、ローリングストーンズのボーカルの「ミックジャガー」が80才になり、今も変わらず活躍なされているとの話の導入から、この結成60年を超える長寿バンド、「老いも衰えも、変容がとても人間らしくて、魅力的なのですよ」と語ってらっしゃる方の言葉を紹介なされておりました。

失敗も手抜きもありながら、上手に他者の力を助っ人として借りて、心地良い音楽の場を提供なされていると、つまり、「変化」「老い」を全く怖がっていないと。

そしてこのバンドについて、続けて哲学者サルトルの言葉を引用なされていました。

原文のまま、紹介致します。

晩年に失明した哲学者サルトルは「他者こそ私の老いである」との名言を残している。老いてなお盛んなのも良いが、衰えを認め、他者の助けを受け入れ、生き延びようとする。

その、振る舞いの何と人間らしいことかと。

私も年齢を重ねて「老い」と向き合う日々を迎えています。

この記事を読み、強い助っ人に出会えたような気持ちとなりました。

もう一つ、老いについての記事。

同じく朝日新聞の記事で、此方は新聞一面の「折々のことば」です。

此方も、先ずは原文のまま、紹介致します。

「明るくあきらめるのがいいね」柚木 沙弥郎(ゆのきさみろう)

歳を取るといろんなことが出来なくなる。散歩も風呂も、大好きな餅を食べることも。

でも、それを辛いとは思わず生きて来たと、染色家は言う。

人生は「楽しくなくちゃいけない」。

だから妙な「こだわりは」は捨て、「自分で出来ること」を変えて行けばいいのだと。

なんだか景色も明るくなる。

全文をご紹介致しました。

この記事を読み、おっしゃっているように景色が変わると共に、老いに向き合う「どんよりとした雲」がすっと過ぎ去り、頭の上に明るい太陽が出てきたような気持ちにさせて頂きました。

良き言葉に出会えたご縁に感謝致しますと共に、これからも、忘れずにこの言葉を噛みしめて行きたく思いました。

通常墓、永代供養墓でご縁を頂いている皆さんとも、体調の不良に始まり、老いのお話しを沢山に伺う事が有ります。

この力強い言葉と共に、ご縁の皆さんと老いに向き合って行きたいものです。

そして、水子供養へお越しの若い世代の皆さんは、まだまだ先のことと思うかもしれませんが、この言葉を噛みしめてみることは有意義であることを書き添えさせて頂きます。合掌

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