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臨済宗の葬儀について

2021.10.11

再度、臨済宗の葬儀について

過日、檀家さんにご不幸があり、ご葬儀の御縁が御座いました。

お葬式は地方によって慣例等が有りますので、一概に決まった形をお伝え致すことは出来ませんが、一般的な臨済宗のご葬儀の有り様を再度お伝え致したく思います。

葬儀式は大事な故人との惜別(せきべつ)と、故人を成仏へと導く厳粛な法要となります。

それと共に参列致す我々が生老病死の理(ことわり)を感得致し、残された私達の人生の本質を見直す大事な機会となると以前にもお話致しました。

受戒と引導

臨済宗の葬儀式では、人間界で四苦八苦の修行を完遂なされた故人を仏弟子として導く「受戒」(じゅかい)と、佛の世界に故人をお送り致す「引導」(いんどう)が中心となります。

先ずは葬儀の前段階として、ご不幸の連絡をお受け致しましたら、和尚が故人の家に赴き「枕経」(りんじゅうの御経)をお唱えします。

お通夜

次に葬儀の前夜に行われます通夜式を行います。

通夜式は、お釈迦様が涅槃(ねはん)に入られました時、お弟子方は一晩を通してお釈迦さんの威徳をお偲び致したところから来ています。

日本では、夜を徹して近しい親族がご遺体の側で供養致します。

ただ、最近は葬儀式に出席できない人のお別れの場となっている感もあります。

葬儀式

仏弟子となる得度式として剃髪の儀式を行います。

生前の行いの中での悪い行いを悔い改める懺悔(さんげ)や、仏、法、僧に帰依致し身心を清浄に致す三帰戒を唱えて、戒名をお授け致します。

そして、導師(お寺の和尚)がこの世の諸行無常、全てのものは本来、空(くう)であることを知らしめ、この世との縁を断ち切る「引導法語」(いんどうほうご)を唱えます。

最後に故人の御霊がこの世に執着せぬように、或いは残された遺族が故人への愛執を断てるように大きな声で「喝」と唱えます。

しかし、なかなかにその愛執が断てないために、その後の七日ごとの法要を継続致す事で故人の追福を祈願致しますと共に残された遺族が心を静めて行きます。

東海大光老師の提言

さて、京都に妙心寺という臨済宗のご本山があります。

そこの元の管長さんであられた東海大光老師のお葬式に対する啓蒙のお言葉がありますのでご紹介いたします。

”葬儀というものは、故人が生前お世話になった皆さんに御礼をする儀式である”との提言による葬儀観があります。

老師は「亡くなったお方はお世話になった皆さんへ御礼が致したくても出来ないので代わりに遺族が御礼を述べる」のが葬儀式の大事な一部で有るとも申されています。

最近多い家族葬を否定するものではありませんが、故人がお世話になられた方々をお招き致す葬儀も大事かなとも考えます。

そして、やがては誰もが送られる人になります、生きている間は報恩感謝の気持ちを保ちながら生活を送りたいと改めて思います。

合掌

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